気の合う仲間との語らいほど、ほっとするものはない。話題は多岐にわたり、いつもと変わらぬ居心地の良さに、一息つくことができる。ある日、出た話題の一つに、死んだらどうなるかというものがあった。まったく無になるのか、想いは残るのか。また、霊は存在するのか。僧職についている友人が、幽霊はいるのかと尋ねられた時に、「それは自分の心の迷いが見せるものだと思う」と答えていた。心の迷い、なるほど納得できる。幽霊は見たことがないが、私はいつも迷っている気がする。
さて、物語を紡いだり読んだりする人たちが集って作る「せる」が、とうとう今回で九十九号になる。人間でいうと、白寿である。「つくも」もしくは「つづら」とも読む二けた最後の九十九という数字には、何か力が宿っている気がする。この九十九号にも、それぞれ持ち味の違う、力のある作品が四作掲載されている。
これまでに、たくさんの想いを載せた「せる」が九十九も積み重なって、そのパワーはきっとせるのメンバーにも、読んでくれた人たちにも届いていることだろう。
九十九歳になる頃には、私はもう迷わないと思うし、もし幽霊を見ても、一緒にお茶を飲めるぐらい落ち着いていると思う。
そう、お楽しみはまだまだこれからなのだ。 (Y)