編集後記

 

  友人とふたりで将棋センターへ出かけた。いつも通り隅の方でこっそり対局していたのだが、休憩中に常連客から一局やろうと声をかけられた。やばい。みんな強いことは分かっている。ある大会の団体戦で優勝している所だ。だから目立たないようにしていた。
 案の定序盤から激しく攻められて防戦一方。全く相手になってない。馬で王手をかけられたので金を打って防ごうとしたら「あー」と叫ばれた。「そこに金打ったらあかんやろ」。でも打ってしまったのだから仕方がない。もじもじしていたらのぞき込んでいた人までが「金なんか打たんと歩を突いたら十分や、歩や歩や」とたたみかけてくる。そこから感想戦が始まってしまった。まだ投了してないのに。
 その夜は友人と酒を飲みながら、初段めざしてがんばろうと誓い合った。ちなみに今の棋力は十五級ぐらい。がんばらない方がいいだろう。
 久しぶりに分厚い「せる」が出来上がった。力作がそろっている。原稿用紙四百枚を越える歴史小説が最後を飾る。それぞれの異なる世界を楽しんでいただけると思う。百号近し。
              (W)

 


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