女から見て男って不思議な生き物だ。とは、大上段に構え過ぎな表現かもしれないが、じき二歳になる息子は母親の私から見て不思議な行動をたくさんとる。
気がつけば鼻の穴に指を突っ込んで得意げに笑っている。地面に棒が落ちていれば必ず拾う。電車でも自転車でも犬でも虫でも動いている物があれば指をささずにはいられない。床に倒れこんだままミニカーを動かして横からタイヤの回転を見続ける。思わず奇行?と思ってしまう。
保育園で見る二歳くらいの女の子はおままごとやオシャレごっこといった大人の私にも共感できる遊びをしている。なのに、息子の遊びには共感しにくい。この子大丈夫?とさえ思ってしまうが、いやいや待てよと首を横に振る。
夫が言っていたじゃないか。「小さい時、鼻の穴に豆を突っ込んで取れなくなった」「棒を振り回してあぜ道のヒガンバナを打ち倒した」「セミの抜け殻を空き缶いっぱいに集めた」などなど。男の子って女には理解できない行動をするものなんだろうか。
本屋に行くと母親向けの「男の子の育て方」というような題名の本が並んでいる。立ち読みしてみるとこんなことが書いてあった。
公園で男の子が遊んでいるときに、母親は「何してるの」「危ないわよ」と声を出して制することが多いそうだが、父親の多くは黙って男の子のやっていることを見ているらしい。それは、父親が子育てに不慣れなためとか、興味がないためというわけではなく、自分の幼い頃の体験から子供がしている行動を理解できるためだからだそうだ。
大人の男から見ると男の子の行動は想定範囲内。ということは、男の心はいつまでも小さな男の子のままなのだろうか。逆に、小さな女の子の心は既に大人の女のそれなのかもしれない。
さて、今回は十分に成熟した男性三人の作品。生きてきた道も感性の向かう方向も三者三様の作者たちが描く男主人公たち。その心情は、女の私には理解しにくいところもあるが、それだからこそ興味深いと思ってしまう。
こんなこと長々と書いていると、反対に男から「女って不思議」と思われてしまうかもしれない。 (AT)
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