美魔女になりたい    柳生 時実


            

 高校一年生の華子と中学一年生の優輝を学校へ送り出した後、歯科医の夫も出勤した。家で一人になると、わたしは大急ぎで家事に取りかかった。掃除機をかけ終え一息つくと、美容活動を始める。まずはヘルスメーターで体重をチェック。昨日よりも二百グラム増えていた。ゆうべの天ぷらが悪かったかな、と少し反省をする。次は入浴だ。今朝の気分にまかせて、入浴剤を選ぶ。ベルガモットのアロマオイルを嗅ぐと気に入ったので、バスタブへ五滴ほどたらし、アロマポットでも焚く。ほろ苦さを含んだ甘酸っぱい香りが、バスルームに広がった。ちょっぴり贅沢な気分になって浸かり、半身浴をする。バスタブの半分にふたを置き、その上に雑誌を濡れないように広げた。お気に入りの雑誌は、わたしと同年代の美魔女と呼ばれる人たちが載っているものだ。全身の毛孔から老廃物が出るまで、雑誌を読みながら待つ。二十分ほど経つと身体の芯が温まり、やっと汗が出てきて気持ちよくなる。もう五分ほど浸かると、バスタブを出た。顔のクレンジングをしてパックを塗ると、再びバスタブへ戻った。パックがいい具合に肌へ浸透した頃、湯から上がってシャワーを浴びる。全身を洗い終えると、ゆうに一時間半は経っていた。
 わたしが美しくなりたいと思ったきっかけは、娘の華子の一言からだ。四ヶ月前のゴールデンウィークに、彼女は友達の美っちゃんち家に泊まりに行ってきた。帰ってきた彼女は興奮していた。
「美っちゃんのママは美魔女よ。すごくキレイで若いんだから。幾つなのか聞いたら、四十九歳なんだって。ホント驚いた。だって四十三歳のママより、十歳は若く見えたもん。それに素顔を見たけど、シミやシワがなかったよ。毎晩、パックやマッサージして、美肌を保ってるんだって。お母さんも、ちょっとはキレイになるよう努力してよ」
「ふうん。美っちゃんのママ、そんなにキレイなの」
「美っちゃんも自慢みたい」
「五十歳近いのにシミやシワがないなんて、おかしいな。もしかしたら、美っちゃんのママは整形美人かもよ」
 華子の言うことが本当なら、美っちゃんママは絶対に何らかの整形をしているハズだと確信したが、そこまでは口にしない。
「そうなのかなぁ。でもキレイなんだもん、整形でも別にいいと思うけど。お母さんも、もう少しメイクやファッションに興味持ってよ」
「整形なんて嫌だけど、お母さんも頑張れば今よりキレイになれると思うわ。そうね、華子も友達に自慢が出来るように、明日から美魔女を目指そうかな」
 わたしは軽い気持ちで言った。
「ホントに? だったら、まずは痩せないとね」
「お母さん、肥ってる?」
「うん。デブではないけど」
 たしかに二の腕はたるんで振袖状態だし、下腹もポッコリしていた。だが、わたしは自分が肥っているとは思っていなかったので、ショックを受けた。そんなわたしにおかまいなく、華子は自分が持っているティーン向け雑誌のメイク特集を持って来て「一緒に研究しようよ」と広げた。
 記事を見ると、若い頃を思い起こした。独身時代は流行のメイクや髪形、ファッションをしていたが、結婚して二人の子どもができると子育てに夢中になった。そのせいで美容に関しては、おざなりだったように思う。自分のためのメイクや髪形ではなく、母親らしさを第一にしていた。その理由は子どもたちを幼児の頃から、受験の世界で競わせたことが大きいと思う。幼児教育の成果は、母親の力で決まると言っても過言ではないからだ。二人の子どもを有名幼稚園に通わせて、お受験のために幼児教室へ入れた。見事、念願の私立小学校に合格すると、次は中学受験を見据えて親子で頑張った。
夫は父親から継いだ歯科医院の院長を実家でしている。彼はマザコン気味で、義母が歯科医院の会計を握っている。何かと口を出してくる義母のせいで、わたしは息苦しかった。今思い返すと、それから逃れるように、子どもの教育に熱を入れたのだ。
優輝が中高一貫の私立中学校へ入学すると、わたしはほっとしたのか、少し気が抜けて生活に張りを感じなくなっていた。その矢先に聞いた「美魔女」という言葉に触発されたわたしは、美容活動を始めたのだ。

 だが美魔女になるために四ヶ月以上頑張ったが、わたしの外見はあまり変化がなかった。始めたころは身長百五十六センチで体重が五十七sだった。すぐに四s痩せられたのに、九月に入るとリバウンドしてしまい、今の体重は五十五s前後だ。きっと夏の疲れが出たのに違いないと思う。疲れると、ついつい甘いものを食べたくなるのだ。二週間後、女子大時代の友人と会うので、それまでに今よりもキレイになりたい。わたしは焦りつつ、四ヶ月続いている風呂上りの日課を始めた。バスタオルで全身を拭くと、すぐ顔に化粧水をつける。水分補給は美肌の基本だからだ。それからボディクリームを塗りながら、裸の全身を鏡に映した。二の腕のたるみは未だに振袖状態で、ボディクリームを塗り込める度にプルンプルンと揺れる。乳房は垂れている上に、授乳をしたせいで乳首がのし烏賊の頭のように三角になったままだ。下腹から腰回りにかけて、贅肉が浮き輪のようにおおっている。太腿も新しいジーンズを穿くと、股ズレを起こすくらい、むっちりしている。
 この身体をスリムにするために、全身マッサージをする。エステシャンの手の動きを再現した上、微弱電流で刺激をするという優れものの美容ローラーを使うのだ。それをリズミカルに転がすと、皮膚が重力に抵抗して、みずみずしい張りがよみがえってくるような気がする。くまなく全身をマッサージすると、汗ばんでくる。
 次は再び顔に戻って、美容液、クリームを順につけていく。その後、髪をもう一度タオルで優しく拭き、洗い流さないトリートメントを滲みこませると、ナノケアドライヤーで乾かす。ドライヤーの風を当てながら、白髪はないかと地肌近くをチェックすることも忘れない。二週間前にヘアカラーしたままの栗色をしていたので、ほっとした。そして仕上げに育乳ブラを身に着けた。背中や脇についた余分な脂肪を寄せ集めて、乳房を大きくする矯正下着だ。これをつけていると、乳房自体が本当に大きくなってくる。わたしはCカップからDへと変わった。もう一度、下着姿で鏡の前に立つ。あまり変わり映えしないが、昨日よりは少しマシになっているハズと、自分を励ました。

 今日は女子大時代の友人のユッコと和美でランチだ。会うのは半年ぶりだった。ユッコはわたしと同じくらいの歳の子どもが二人いて、手の掛らなくなった数年前からパートに出ている。和美は父親の貿易会社を弟と継いで、バリバリ働いている。結婚は十年前にしたが、子どもはいない。
 いつものように育乳ブラを着けた後、バスローブを身にまとい、ドレッサーに座ってメイクをはじめた。下地クリームを塗り、二種類のコンシーラーでシミ、シワを隠していく。それからリキッドファンデーションを塗り、目のまわり、法令線、口元に気を付けながら、やさしくスポンジでおさえる。ここで手を抜くとメイク崩れが早くなって老け顔になりやすいとBAさん(美容部員、ビューティーアドバイザー)に教わったのだ。パウダーをはたいて、塗りムラがないかと念入りにチェック。そして眉、アイメイク、頬、口紅とメイクが完了するまで、三十五分かかった。次に髪の毛をヘアーアイロンで巻き、七分袖で茶色のワンピースを着た。この洋服は今日のためにセレクトショップで買ってきた。足元にはタイツにロングブーツをあわせ、すっかり秋の装いだ。まだ残暑が厳しく気温は高いが、お洒落は我慢なり、と少々の暑さには耐えるつもりだ。ワンピースにと一緒に買ったパシュミナのストールをバーキンに入れる。空調の効いたレストランで必要になるかもしれないからだ。
 約束の時間通りにホテルのロビーに着くと、ソファーに座ったユッコが二十年前から変わらない笑顔で手招きしている。
「久しぶり!」
 ユッコの前に腰かけると、彼女の目尻のシワが目に入り、ほくそ笑む。
「和美はまだ来てないの」
「遅れるって、メール来たよ。何年経っても変わらないよね」
 女子大時代、いつも和美は遅れて来た。あのころは携帯電話がなかったので、皆でイライラして待ったものだった。二十年経っても癖は治らないようだ。
 わたし達は、互いの子どもたちの話を始めた。和美には子どもがいないので、三人の時はなるべく話題にしないのだ。受験の情報を交換して、塾の話をしていると「お待たせ」と和美の声がした。振り返ると、この秋流行のからし色のワンピースにパンプスを履いた彼女が立っていた。その姿はファッション雑誌のモデルのようにお洒落な上、女らしい甘い香りが漂ってくる。
「出ようとしたら仕事の電話が入って」
 和美は悪びれた様子もなく、ゴメンとも言わない。
「さあ、美味しいものを食べに行こうよ」
 ユッコが立ち上がり、わたしたちも「そうしよう」と連れ立った。ホテル内のレストランに入ると、窓際に案内された。一番、眺望の良い席に和美が当たり前のように座った。わたしとユッコは『ほらね』と、こっそり顔を見合わせる。和美には、遠慮というものが昔からなかったのだ。
メニューを皆で見て、あうんの呼吸で注文をすると「最近、どうしてる?」と、和美が口を開いた。
「どうって、半年前と変わらないわ。私は仕事と子ども中心の毎日よ」
 ユッコが答えた。
「わたしはね、優輝が中学生になって楽になったから、自分磨きを始めたわ」
「自分磨きって、いったい何してるのよ」
 二人は興味津々といった面持ちで、わたしを見た。
「まあ、美容に力を入れ始めたわけで」
「これまでの真理子は子どものことばかりかまけて、美容どころじゃなかったもんね。いいことよ」
 ユッコがちゃかしたように言う。
「それで、エステの会員でもなったわけ?」
 和美が質問した。
「ううん。エステはまだ行ってない」
 わたしは自分流に始めた半身浴、マッサージ、メイクのことを二人に話した。
「真理子がやってることって、普通よ」二人とも顔を見合わせて可笑しそうだ。
「そうなんだ。みんなやってるの?」
「あたしは半身浴やマッサージはやってないわ。仕事が忙しくて時間がないから」
「ふうん。その割には和美の肌や髪、すっごく艶々してるよ」
 ユッコが突っ込む。
「ホント、艶々」
 わたしも感嘆した。
 和美は満更でもない笑みを浮かべて、美容院で仕上げたようにセットされている巻き毛を指でからめた。薬指にはダイヤモンドの指輪が光り、爪はジェルネイルが綺麗に施されている。
「私は色々な美活をやってるよ」
「美活?」
「美容活動のことよ」
「いったい、どんなのをやってるの」
 わたしと和美は声を揃えた。
「続いているのは、美容スチーマー。寝ながら出来るから、楽よ」
「ほかには」
「前はね、真理子のように美容ローラーを使ったことがある。それから美顔器も。でも面倒だから、だんだんやらなくなって。これから買おうと思っているのが、炭酸ミストよ。友達にいいよって、すすめられたわ」
「へぇ」
「前はエステにも通ったけど、仕事していると時間がなくて。ひと月に一度だけエステでお手入れをして、後は何もやらないのなら、キレイになれないわ。だから、毎日自分でやっている真理子は正解よ」
 褒められたのか、けなされたのかはわからないが、わたしは美顔器や炭酸ミスト、それにエステもやらなきゃと密かに思って頷いた。
「二人ともエライわ。あたしも頑張らないと、このままじゃ老け込んじゃう」
 言っていることとは裏腹に、和美は余裕の表情だ。たしかに彼女の装いやメイクは洗練されていて、とても美しい。美魔女という称号がぴったりだ。きっと、わたしと同い年には見えないだろう。わたしは思わず「和美は子どもがいないから、いつまでも若いよね」と、口にしてしまう。気まずい空気になった。丁度その時、前菜が運ばれてきたので、わたしはホッとした。ウェーターが料理の説明を始めたので、わたし達は神妙に聞き、フォークを手にした。しばらくすると、話題は家族の話になった。三人とも両親が健在なので、年老いた親の話をする。だが、介護にはまだ早いので、当たり障りのない内容だ。そして、舅、姑、義理の兄弟姉妹の悪口になり、ストレスを発散させた。
 女子大時代の思い出話に花を咲かせて笑い合っているうちに、デザートになった。最後のコーヒーを飲んでいると「そうそう、前谷さんって憶えてる?」と、改まった様子でユッコが言った。
「あたしはノート借りたり、代返頼んだりとお世話になったわ」
「わたしも」
「前谷さん、先月亡くなられたんだって」
「なんで?」
 驚いたわたしは声を上げた。
「なんでも突然死だって。夜寝ているうちに、亡くなられたそうよ」
「そんなことが、あるなんて」
 和美が声を震わせる。
「前谷さん、まだ小学生の息子さんがいるらしいの。本当に心残りだと思うわ」
 三人とも沈黙した。
 わたしは前谷さんのことを思い出した。彼女は出席を取らない講義でも休まず、ノートを貸してと頼んでも、嫌な顔を見せなかった。普段はおとなしい彼女だったが、お気に入りの芸能人の話題になると饒舌になった。その笑顔がよみがえり、胸が痛んだ。
「同い年の人が亡くなるなんて、すごく辛いわ」
 和美が瞳をうるませる。
「人の死亡率は百パーセントだって、わかっているのに。普段は実感なくて、他人ごとだもん」
 ユッコも涙声だ。
「誰でも、いつかは死ぬのよね。早いか遅いかの違いだけで……」と、わたしは呟いた。
「死ぬ時、後悔したくないよね」
 ユッコはわたし達に同意を求めた。
「うん、後悔したくないわ」
 わたしは答えた。
「実はね。あたし赤ちゃんはあきらめたの。病院にも通ったし、自分で出来ることは全部やったって、納得したから」
 和美が吹っ切れたような表情で、ユッコとわたしを見つめた。彼女と視線が合うと、わたしは「子どもがいないから、いつまでも若いよね」と先程言った嫌味な言葉を思い出して、うつむいた。
「和美が不妊治療していたなんて、私、知らなかったわ。辛かったね」
 ユッコの優しい声がする。
「結婚したら自然に出来ると思ってたんだけど、授からなくて。子どもに恵まれたユッコと真理子がうらやましいわ」
「うらやましいなんて、和美らしくないよ」
 ユッコがおどけた調子で答えた。
「和美、さっきはゴメンね」
 わたしは顔を上げて、素直に謝った。
「ああ、いつまでも若いってやつ? 別に気にしてないから。不妊治療のことは、あたしが言わなかったんだし」
「言えないことって、誰にも一つはあるよ」
 ユッコが誰ともなく、なだめた。
「あたし、これから打ち合わせがあるから、もう行くね」
 和美が席を立った。それをしおに、皆でレストランを出た。急いでいる和美と別れ、ユッコが「まだ時間あるでしょ」と、誘ってきた。それで、二人でロビー横のラウンジへ入った。
「びっくりしたよね。和美が不妊治療してたなんて。子どもはいらない人なんだって、勝手に思ってたから」
 コーヒーを注文すると、ユッコが話し始めた。
「昔から、弱みは見せない人だった。わたし達には子どもがいるから、言いづらかったのかな」
「きっとそうよ」
「和美のように恵まれた人でも、どうにも出来ないことがあるのね」
「ホントね。子どもは授かりものだもの。私も二度流産したわ」
「あの時のユッコ、わたしに泣いて電話してきたよね。かける言葉が見つからなくて、悪かったわ」
「ううん、聞いてくれるだけで、気持ちが軽くなった。和美にも誰か話せる人はいたかな」
「どうだろう」
「一人で胸にしまい込むと辛いからね」
「ねえ、今日、仕事で早く帰ったのは嘘じゃないよね」
和美の心を傷つけたのでは、と心配になった。
「嘘じゃないと思うよ。今までも先に帰ることが多かったもの」
「だったらいいけど」
 わたしは空調が肌寒く感じて、バーキンからパシュミナのストールを出して羽織った。
「そのバーキン、いつも大切にしてるね」
「これ? もう買って何年になるだろう」
 わたしは小首を傾げた。
「真理子のバーキンのことね、和美が『製鞄バーキン』って言ってたのを思い出した」
 ユッコが意地悪く微笑む。
「製鞄バーキン?」
「そう。学校指定の製鞄のように、いつも持っているからって。使いすぎて端とか傷んでいるのも、製鞄みたいだってさ」
「なによそれ! ムカつく」
 わたしは声を荒げた。
「まあまあ、落ち着いて。和美はバーキンを何個も持ってることが、自慢なのよ」
「だからって酷いわ。うちはお義母さんが経理を握ってるから、お金が自由にならないし。このところ近所に歯科医院が次々と出来て、大変らしいの。それに子どもたちの教育費が莫大だわ。独身時代と変わらない生活をしている和美と違って、贅沢は出来ないんだから」
「真理子、そんなに怒らないで。余計なこと言ってゴメン、ゴメン」
「わたし思い出した。もっと腹が立つこと」
「えっ、何を」
「大学時代、わたしが密かに好きだったA君に、和美が『真理子が好きだって言ってるよ』って勝手に告白した結果、フラれたこと」
「そんなこともあったね」
「わたしが怒っているのは、和美が教えてくれたフラれた理由よ。『A君の好きなタイプは、パッチリした眼の子なんだって』って。あの時はフラれたことが悲しくて気が付かなかった。今、思い返すと和美は、わたしの一重まぶたのことを馬鹿にしてたんだわ。だって、和美はパッチリ二重だもん」
「そんな昔のこと、忘れなさいよ」
「忘れられないわ。和美には負けたくない」
「なにも負けてないって」ユッコは眉を寄せているが、瞳は笑っている。
「わたし、美魔女になりたい。キレイになるよう頑張る。何もしないで歳を重ねたら、死ぬ時に後悔するわ。前谷さんのように、いつ何が起こるかわからないもの」
「そうね、やりたいことをして今を楽しもうよ」
「今は、和美よりも若く見られるようになることが目標だわ」
「美魔女に変身するのを応援するって。それで、真理子が美活を始めたきっかけは、彼氏ができたとかなの?」
「違うわよ。彼氏なんていないわ」
 わたしはユッコの意外な質問に驚いた。
「なんだ、がっかりした。真理子のとこは夫婦仲いいもんね」
「喧嘩はしないけど、良くも悪くもないかな。普通よ」
「うちも普通だけど」
 ユッコは不敵な笑みを見せた。彼女は職場で出会った男性と大人の関係を持っている。和美とわたしは、以前にユッコから聞いて知った。ユッコ夫婦は、うちよりも上手くいっているように見えていたので、浮気話を聞いた時は驚いた。わたしから見たユッコの夫は、家族思いで優しい理想の人だ。だからユッコにどんな不満があるのかは、わからない。だが、彼女を非難する気持ちはない。年に二、三度しか会わないので、日々の暮らしぶりは知らないし、ユッコにはユッコの思いがあるのだろうから。
 コーヒーが運ばれてきたので、わたしは口をつけて一息入れてから訊ねた。
「ユッコが美容に気を使うのは、男のためなの?」
「男のためじゃなくて身だしなみよ、って言いたいとこだけど、半分は違うわ。いつまでも女でありたいからかな」
「女ねぇ。キレイでなければ女じゃないのかな」
「そんなことはないと思う。でもキレイだったら得するじゃない。和美なんて、いつも良い目にあってるわ」
「キレイになれば良いことあるのかなぁ。わたしの場合は得したいというよりも、老けることへの恐怖が大きいわ」
「その通りよ。結局、私達の世代は老いへの恐怖を打ち負かすためのアンチエイジングにつきるのよ」
「そうよね。なんとか頑張って。加齢に抵抗するわ」
「お互い、頑張ろうよ」
「そろそろ、デパ地下でおかず買って帰ろうか」
 わたし達はラウンジを出て、一緒に近くの百貨店で買い物をして別れた。

 美魔女になるべく美容活動を始めて、半年経った。毎日の手入れに加え、月に二、三度エステに通った。ネットや情報誌を見て、よさそうな店を選んで行く。どの店も初回は手頃な金額のコースを設定しているので、都合良かった。一巡したら、気に入った所へ通うつもりだ。それからユッコに勧められて、加圧トレーニングへも行くようになった。この運動はダイエットや美肌に即効性があると、芸能人に人気があるらしい。加圧トレーニングはマンツーマンなので、運動が苦手なわたしでも他人の目を気にしないですむので、性に合ったようだ。そのほかにもジェルネイル、まつ毛のエクステなどにも定期的に通うので、毎日が忙しかった。
 費用と時間をかけた甲斐があり、肌は透明感が出て来た。身体も加圧で鍛えた効果で、二の腕、下腹などが少しずつ引き締まってきた。だが、鏡に映る自分の姿に満足できなかった。たしかに、以前より化粧のノリはいいし、幾分は痩せて小顔になったようだ。では、何が悪いのだろうかと、鏡を覗き込む。やはりコレだと思ったのが、奥二重だった。女子大時代、A君に振られた理由を和美に聞いて以来、わたしは一重の眼をアイプチで二重にしていた。三十歳を越えた頃、加齢のせいなのか何もしなくても奥二重になったので、アイプチはやめた。だが、美魔女の和美はもちろん二重だし、たぶん美っちゃんのママもパッチリした目に違いなかった。なんとかパッチリした二重にしようと久しぶりにアイプチをしたが、しっくりこなかった。アイプチした自分の眼を見ると、陰で和美がわたしのバーキンを「製鞄バーキン」と揶揄したように、一重の眼を馬鹿にしているに違いないと思い、涙が出た。
 整形しよう。
 悩みを解決するのには、コレしかない。
 早速、ネットで美容外科を検索して、情報を集めた。気になる美容外科にいくつかメールで問い合わせた。どこも返信がすぐにあり、最後に一度無料カウンセリングに来て下さいと書いてある。どこへ行こうかと決める際、まずは丁寧に返信が書かれている所を候補に挙げた。それから、極端に費用が安いところは止めた。なんだか信用出来ない気がしたからだ。悩んだ末、院長一人でやっているという小さな美容外科にカウンセリングの予約を入れた。
 美容外科へ行く朝、メイクはしなかった。先生と話して納得すればすぐに手術がしたいと、あらかじめ伝えていたからだ。公共交通機関を使って知り合いに会うのは嫌なので、一時間ほどの道のりを車で向かう。美容外科は駅前のビルにあった。ドアを開けて入ると、待合室には患者らしき人は誰もいなかったので、ホッとした。受付を済ませて腰をかけた。ソファーは座り心地や手ざわりの良い本革製で、病院には似つかわしくない。保険治療のきかない美容外科は儲かるのだな、とわたしは推察した。
 受付の女性に診察室へ案内された。先生はわたしと同じ四十代くらいで、おとなしそうな人だった。待合室の上等なソファーから勝手に派手なイメージを持っていたので、意外だった。
「どんな感じにしたいのですか」
「パッチリした二重にして下さい」
「ちょっと見せて下さい」
 先生は先の尖った金属の棒で、わたしの瞼を軽く押し上げる。この二重はどうですか、と手鏡を渡された。瞼を見ると、いつものアイプチの方がパッチリしているようだ。
「あの、自分でアイプチをした時の方が、これよりも瞳が大きく見えるように思いますけど」
「アイプチは糊で瞼をくっつけるので、瞼が引き上げられて瞳が大きく見えるのです。埋没法で自然な二重にした場合、これくらいがベストだと思いますよ」
「なるほどね。あの、切開法とどちらが良いのでしょうか。とても迷ってるんです」
 わたしは事前に手術法をリサーチしてきた。埋没法は費用が安く、術後の仕上がりが気に入らない場合は元に戻せる。ただ、数年で自然に元の一重に戻ることが多く、永久的ではない。術後の腫れは少ないので、二、三日でメイクが可能だ。切開法は元の瞼には戻せないが、一度手術すれば一重に戻ることはない。二重の幅は、埋没法よりも大きく出来、パッチリと派手にすることが出来る。ただ、切開するので、術後一ヶ月くらいは腫れが残るようだ。
「初めての方には、埋没法をお勧めしていますよ」
 わたしはもう一度手鏡をのぞいた。たしかに自然な二重になっている気がした。手術を受ければ、アイプチをしなくても、いつでもこのような二重でいられるのだ。
「埋没法でお願いします」
 わたしはきっぱり宣言した。そして先生と二重の幅のミリ数を相談して、この後手術を受けることにした。
 診察室から手術室へ移った。手術室といっても、歯科医院と同じようなリクライニングの椅子があるだけだった。ただ違うのは、大きな手術用の照明があった。教えられたように洗顔して椅子に腰かけると、手術着姿の先生が入ってきた。先生は最終的な仕上がりを確認しましょうと、先程と同じように金属の棒で瞼を押し上げて二重を作った。手鏡を見て納得したわたしは「これでお願いします」と答えた。すぐに椅子の背もたれが倒され、照明を当てられた。まぶしくて何も見えなくなる。
「では麻酔をしますね」
 瞼の上でチクリと針を感じた。それからは時々引っ張られる感触はあるが、痛くはない。はじめは黙っていたが、どちらともなく雑談になった。もちろん先生は手を休めない。先生の子どもが中学受験を考えていると言うので、自分の体験談を披露しているうちに一時間が過ぎた。そして「終わりましたよ」と、背もたれが起こされた。
「どうぞ」
 手鏡が渡され、恐る恐る鏡に顔を映した。二重になった瞼が、泣いた後のように腫れている。
「いかがですか。腫れは三日ほどで引きますよ」
 上手くいったのか解らないわたしは、声が出ない。もう一度、じっくりと瞼を見た。片目ずつ閉じて、瞼の上を確認する。糸で止めている所だろうか、小さな傷を一つ見つけた。
「この傷は残りますか?」
「ほとんど、わからなくなりますよ。ただ、この一週間は内出血があるかもしれません。それも治ります」
「そうですか。良かった」
 わたしはほっとため息をついた。
 受付で術後の注意説明を受け、薬をもらい帰宅した。腫れを隠すため、二日ほどコンタクトを入れないで、メガネで過ごした。自宅では普段からメガネをかけているので、家族は誰も気づかないようだった。三日目にコンタクトを入れてメイクをした。奥二重の時はアイシャドーをほとんど使わなかったが、今日は丁寧に塗った。パッチリと自然な二重にアイシャドーが映えて、とてもキレイだ。それにアイラインを細く引いても、瞳は大きく見える。わたしは人生で初めて、鏡に映る自分の顔に満足した。

「ねえ、見て」
 一ヶ月後、わたしは思い切って夫の前に立った。新聞を読んでいた彼は顔を上げ「髪、切った? 似合うよ」と言う。
「髪は切ってない。わからないのなら、もういいよ」と踵を返した。夫はまた新聞を読み始めたようで、何も言ってこない。わたしは安心した気持ちと残念な気持ちで、ないまぜになった。夫に初めて一重まぶたの素顔を見せた時「アイプチしていない一重の方が、自然でカワイイよ」と言ってくれた。そのおかげだろうか、一重コンプレックスは結婚して和らいだ。だから、こっそり整形手術をしたことが後ろめたかった。もしも「その眼どうしたの?」と聞かれたら、正直に話すつもりだった。そして、キレイになったよと言ってほしかった。しかし、わたしの顔を毎日見ている夫が、整形したことに気づかないことは良いことなのだ、それほど自然な二重瞼になれたのだ、と自分に言い聞かせる。来週、またユッコと和美に会う約束があった。彼女たちは気が付くだろうか。わたしはとても待ち遠しくなった。

 約束の時間よりも早く、ホテルのロビーに着いた。今日はバーキンを持って来なかった。代わりに、義母の旅行土産のプラダのバッグにした。
 ロビーのソファーにゆったりと腰かけて足を組むと、なんだか自分がイイ女になった気がする。前を通り過ぎる男が、見つめてくる。わたしはその視線を感じながら、無視して横を向いた。なんだか、とても気持ちいい。和美はいつもこのような気持ちを味わっているのだろう。
 向こうからユッコが来た。彼女はわたしの隣に座ると「美活、頑張っているみたいね。真理子、キレイになったよ」と、ささやいた。
「ホント?」
「お世辞じゃないよ。本当」
「どこがキレイになったと思う」
 どれどれ、とユッコは大げさにわたしの顔を覗き込んだ。
「もしかして、お直ししたの? その眼」
「わかる?」
「うん。だってどこが綺麗になったかなんて、可笑しなこと聞いてくるんだもん。だいたいやるのが遅いよ。私は高校を卒業した春休みにやったわ」
「知らなかったわ!」
「お直ししました、なんて言うこともないからね」
「ホント、そうよね」
 今までユッコの二重瞼は生まれつきだと信じていたので、驚いた。和美はどうなのだろうかと、疑問がわいたのを察知したように、ユッコが言った。
「和美は生まれつきの二重だと思うわ。両親も弟も、みな似たような二重だもの」
「やっぱり、ホンモノなんだ」
 噂をしたからなのか「お待たせ」と、和美がやって来た。わたしとユッコは何事もなかったかのように、立ち上がった。
 レストランで注文すると、いつものように順に近況を報告し合う。この間会ってから三か月ほどしか経っていないが、話は尽きない。
「あたし、お土産持ってきたの。特に真理子に」
 和美がクロコ(ダイル)のバーキンから小袋を取り出した。
「なになに」
 ユッコが先に手を伸ばした。
「サプリよ。飲むと若返るらしいわ」
 和美が意味ありげに微笑む。
 わたしも小袋を受け取り、プラスチックのボトルを取り出した。貼られた効能書きに目をやると、小さな横文字で書かれていて読みづらい。
「取引先の人にもらったの。あたしはサプリを飲まないから、どうぞ。なんでもアメリカ製で、ハリウッドのセレブ御用達だって」
「成分はなに?」
 わたしは質問した。
「おもにビタミン剤らしいわ」
「ビタミン剤ねぇ」
「セレブが飲んでる物なんて! これで美活が捗るね」
 ユッコがウィンクする。得体のしれない外国のサプリメントなので、わたしには怪しく思えて素直に喜べない。
「変なものじゃないから、安心して。真理子、成分とか気になるのなら、旦那さんに見てもらってね」
 和美がニヤリとした。その不敵な笑みを見たら、これはビタミン剤ではなく、本当は危険なサプリかもと不安になる。この間「和美は子どもがいないから、いつまでも若いよね」と言ったわたしへの仕返しなのかもしれない、と勘ぐった。それとも、眼を整形したことに気づいて、内心で馬鹿にしているのかもと思えてくる。ああ、それに違いない。いくら和美が意地悪だとしても、危険なサプリを渡すような犯罪行為はしないはずだ。色々考えているうちに、わたしは上の空の心地で会話を楽しめなくなった。
 レストランを三人で出た途端、和美の携帯電話が鳴った。彼女は「ゴメン」とわたし達に合図を送ると、流暢な英語でしゃべりはじめた。時折、小首を傾げて話す和美の横顔は、艶やかな透明感があって美しい。この人こそ美魔女なのだと思わず見とれてしまう。まだまだ和美には勝てないと、思い知らされた。彼女の美しさは、いったいどこから来るのだろうか。何もしていないと言いながら、陰ではサプリメントを飲み、必死に運動して、その上にプチ整形をしているのかも、と思えてきた。そうだ、絶対に何かをやっているハズだ! 同い年なのに、こんなに差が出るなんて、おかしすぎる。和美が先に帰った後、珍しくユッコの誘いを断って急いで帰宅した。
 自宅に着くと、さっそく整形をした美容外科にメールを送る。もちろん、プチ整形について質問をしたのだ。やはり、カウンセリングへ来て下さいとのことなので、予約を入れた。

 予約当日になり、美容外科の診察室へ入った。
「目尻のシワや、法令線が気になって。化粧品やエステでは限界があるんです。なんとかして若くなりたいんです」
 わたしは先生に訴えた。
「目尻の表情ジワはボトックスを注射すれば、目立たなくなりますよ。あなたの場合は目尻のシワよりも、法令線が気になりますね。若くなりたいのでしたら、法令線と口角の下に注射でヒアルロン酸を入れたらどうでしょう」
 わたしはシワや法令線のない和美の顔を思い出した。それに美っちゃんのママも何らかのプチ整形をして、若さを保っているに違いない。
「ヒアルロン酸をお願いします」
 二重の埋没手術をしたので、今さら注射の痛さなど気にならず即断した。先生は「このへんに打ちましょう」と、注射を打つ場所をマジックでマークして、手鏡で見せてくれる。それから処置室へ移り、唇と鼻の横にクリーム状の麻酔を塗られた。口周りの感覚が麻痺した頃、ヒアルロン酸注射を打たれた。麻酔が効いているので、痛みは感じなかった。それからヒアルロン酸が馴染むように、皮膚をつままれた。これは少し痛い。だが若返ると思うとワクワクする。すべてが終わったようで、手鏡を渡された。ドキドキしながら鏡を見ると、わたしの顔から法令線が消えていた。口元もふっくらとなっている。笑顔を作ると、表情が今までよりも生き生きしている。すぐに効果が出るなんて、と驚いた。わたしは満足して、美容外科をあとにした。お金さえかければ、美魔女も夢じゃないのだ。

 ひと月経つと、ヒアルロン酸の効果が薄れてきたような気がした。半年ほど持つと言われたので、気のせいかもしれない。次は目尻のシワを消すためにボトックス注射をしたいと考えているので、その際に先生に聞いてみようと思う。プチ整形で簡単に若くキレイになれたので、顔の美容活動はだんだん簡単になってきた。毎日、時間をかけてするお手入れが、馬鹿らしくなったのだ。プチ整形の費用を捻出するために、子どものために積み立てている進学費用に手を付けた。このことが夫にバレないように願った。その思いとは裏腹に、わたしの顔の変化を家族のだれも気が付かないようなので、かえって不安になる。もしかしたら顔が若くキレイになっていると、自分で錯覚しているだけかもしれない。一日に何度も鏡でチェックした。整形前の写真を出してきて、今の自分と比較した。それを見ると、キレイになったと思えるが、他人の目にはどう映るのかわからずに自信が持てなかった。自然と日々の美容活動は、身体を中心に頑張るようになった。このような日々を過ごしている中、華子の学校で参観と保護者会が開かれることになった。わたしは美っちゃんママに会えることを楽しみに出かけた。
参観当日、授業後に残った保護者が教室の真ん中で車座になって腰かけた。担任の先生は母親たちに自己紹介をするよう促した。わたしは美っちゃんのママはどの人だろうか、と見渡した。メイクをナチュラルに仕上げ、パンツスーツの服装が洒落ている美しい女性が一人いる。美っちゃんママに違いないと思い、会釈する。彼女に自己紹介の順番が回ったので、耳を澄ませた。
「タナカカズトの母です。うちの子はサッカー部で……」
 わたしは耳を疑った。彼女は美っちゃんママではないのだ。他にキレイな人は見当たらないので、今日は来ていないのだろうと残念に思った。その時、「フクダミコの母です」と、平凡な女性が自己紹介をした。そういえば、美っちゃんの名字は「福田さん」だった。すると、この人が華子の言う美っちゃんママで、美魔女なのだ。
彼女は話を続けている。
「うちの娘は高校からこの学校に来たので、中学からいる人たちと仲良く出来るだろうかと、とても不安そうにしていました。ですが、すぐに友達も沢山できて、先日の遠足でも……」
 ゆっくりと話すので聞き取りやすく、これまで自己紹介をした人の中では一番堂々としている。そのせいなのか、平凡に思えていた容姿が生き生きとキレイに見えてくる。よくよく見ると彼女の表情は豊かで、とても魅力的だ。ただ、わたしが思い描いていたキレイさは持ち合わせてはいなかった。顔のシミやシワはメイクで隠しているのだろうが、首のたるみや手の甲に浮き出た血管を見ると、とても三十代には見えないからだ。やはり、歳相応の五十歳近い外見をしている。ではなぜ、華子は美っちゃんママを若くてキレイな美魔女だと言ったのだろうか。目の前の美っちゃんママは自信に溢れ、後光がさしている。これは美のオーラなのだろう。きっと、このオーラで目が眩んでしまい、美しく見えるのだ。
 思いおこすと、和美も美のオーラで輝いていた。それは他人の評価に惑わされない自信が放つものに違いない。わたし達に不妊治療をやめたことをカミングアウトしたのは、選んだ生き方に信念があるからだろう。
 わたしは自分の容姿に自信が持てず、キレイな美魔女になりたかった。それで自分を良く見せようと見栄をはって、整形したのだ。それなのに外見をいじってお直しするほど、自信を喪失していった。このキレイさは天然ではなく「インチキ」だと感じたからだ。
美魔女になろうとしているうちに、大切なことを忘れてしまっていた。振り返ってみると、わたしは二人の子育てを一生懸命に頑張ってきたことを誇りに思っていたのだ。この生き方は「インチキ」ではなく、本物だったと思う。これからは自分を信じて、子育てだけではない新しい自分を見つけるつもりだ。そうするうちに、きっと内面が顔に出てくるに違いない。その溢れ出たものが周りの人からはキレイに見えなくても、わたしは満足するはずだ。
もうすぐ自己紹介の番が回ってくる。まだ美っちゃんママのような溢れる自信はないが、自分らしく精一杯話そう。
                     (了)


 

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