編集後記
メールの文章がおもしろい。親しい友人とのざっくばらんな交信にもそれぞれに特徴があって読みごたえがある。そして見ごたえがある。文学的にいえば文体があるのだ。
やたらと絵文字を使う人。関係のないことをだらだらと書いてくる人。ですます調で丁寧すぎる人。句読点のない人。いつも天気のことから始める人。などなど。
みんなに共通しているのは文章がうまいことだ。それなりに読ませてくれる。たとえ絵文字ばかりだとしてもそこにはきちんと表現されたものがある。小説を書いてみたらどうだと勧めたくなる。
さらにおもしろいのは意外性。あの人がこんなまじめな文章を書くのか、普段は無口なのにメールだとなんでこんなに長いんだ、と。
それでもおおかたのメールは用件だけを端的に伝え合う内容だ。そこで重宝するのが「了解」。今までほとんど使わなかったのにメールではいい言葉になった。
今回も三作がそろった。小説だから「了解」は必要ないかもしれないが、それなりにうなずける作品に出会えるとうれしい。いったんうなずいてから「まてよ」。この「まてよ」が小説の魅力だろう。 (W)
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