編集後記
編集後記 インターネットの「こちら側」「あちら側」という言い回しがある。 現実・現在・実体サイドを「こちら側」といい、インターネット・ウェブでのデータの流通・編集のシステムを通じて新たに創出されたサイドを「あちら側」と呼ぶ。 ・情報を処理する機能をインターネットの「こちら側」と「あちら側」のどちらに持つべきものなのか(59頁) ウェブの進化を牽引するのはグーグルで、インターネットテキスト検索が高度化することで、こちら側からの情報発信が、必要とする人に直結する。必要とする人にピンポイントで情報が提供されることで、新しい広告の媒体となる。だれもが提供する情報の広告媒体となることができ、この結果、あちら側への情報提供の、提供する価値に応じて富が分配されるというシステムが確立された。しかも絶対的な数値化スコア化が可能であるという、機会平等な世界が形成されている。 「あちら側」で構築されつつある新しい装置型の舞台は、人の生き死にの問題にはつながらないが、たとえば格差社会化といった現実の不安をかかえる「こちら側」に対して、「あちら側」または<向こう側>の関係は、比較できるかもしれないと、奥野氏による日野啓三<向こう側>に関する評論を読んでいて思った。(壱)
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