ある昼前の出来事である。職場でいつものように座っていたら、腰の辺りにだる痛い違和感を覚えた。それが一時間もしないうちに腰がほとんど動かせなくなり、身体の向きを変えようとするだけで、電気が走ったような痛みに襲われた。原因を探るべく昨日から今朝までの行動を思い浮かべたが、重たい荷物を持った記憶はない。精神的ストレスによるものかと考えてみたが、人の温もりに包まれた職場で、そんなことは考えにくい。
思い当たる原因を見出せないまま、何とかその日は五時まで勤務し、車を運転するのも四苦八苦だったが、帰り整形外科医院に立ち寄り診察を受けた。内服薬と湿布剤をもらったが、すぐに痛みは治まらない。腰が動かせないということは、着替えなど何かにつけて不自由で、特に風呂とトイレに入るのが大変である。頭ではわかっていながら、不自由さを身をもって体験してみると、健康のありがたさが身に染みる出来事だった。
五十路に入って、親近者の葬儀に参列する機会が増え、死というものが脳裏にちらつき始めた。健康に留意し、悔いのない残りの人生を送りたいものである。
さて、今回は編集委員の予想を超えるベテランから新人まで、女性作者ばかりの五作品掲載となった。
感動を与えられるか、読後に余韻を残せられるか、読者の皆さんが評価してください。 (上月)
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