禁煙を試みたことが何度かある。最初は大学四回生の時。就職内定先へ健康診断書を提出しなければならなかったので大学内の保険センターで調べてもらったところ、血圧が少し高かった。それで再検査までの一ヵ月間たばこを止めた。このまま血圧が下がらなかったらどうしようとまじめに考えたものだ。自分の体のことより内定先から何か言われるんじゃないかとそちらの方が心配だった。再検査の結果はかろうじて標準値内に収まっていたので、すぐたばこを吸い始めた。
次は、肝臓が悪いと医者から言われた時。体調が悪く血液検査をしてもらったところ、肝臓がどうのこうのと言われ超音波検査をすすめられた。予約して大病院まで出かけていったが全く問題はなく、一時的に値が高くなったのだろうということだった。このときは一週間ほど仕事を休み、それからもしばらく体のだるい状態が続いたので半年以上は禁煙できた。
三回目は、よしと気合いを入れて自発的に試みた。こんなもの吸って何が楽しいんだ、金をどぶに捨てるようなものだ、他人にも迷惑がかかる、部屋が臭くなる、環境にもよくない、肺が真っ黒、血管も細くなるとさんざんたばこをさげすんで必死に気持ちを高ぶらせてみたものの、食後の一服が忘れられずにいつのまにか元へ戻っていった。
今はもうあきらめている。よほど切羽詰まった状態にならないと完全禁煙はむずかしい。
ところで酒の方はどうだろう。いつのころからか毎晩飲む習慣がついてしまって時々は二日酔いにも苦しんでいるのに、禁酒しようと考えたことがない。酒の害もよくよく分かっているつもりだが、こちらもたばこ同様切羽詰まらないと止めることはできないのだろう。
ちなみに、僕の回りにはアルコールは全くだめだがたばこは大好きという人が多くいて不思議に思っている。その逆はまったくいない。
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