二十一世紀になって初めての今年の夏も厳しい暑さが続いた。近年、体力が衰えたらしく、この暑さはかなりこたえる。
暑い、暑いと言いながらも南へ、今年もダイビングに行った。沖縄の久米島と、フィリピンのモアルボアルに。都会のじめじめとした湿度の高さと違い、太陽の熱が直接伝わる、からっとした空気のなかで海に入った。
海の中の世界は、それぞれの場所で違った顔を見せてくれる。久米島では透明度の高い水中で、大物はいなかったが小さな魚群にとりかこまれた。モアルボアルは世界有数の透明度と聞いていたが、今年は濁っていて、ドリフトダイビングでドロップオフの色とりどりのサンゴを楽しんだ。期待していた通りの風景もいいし、予想外の海中もそれなりに驚きがあっていいものだ。
このほか近年訪れたダイビングスポットとしては、サイパンのグロットのトンネル、フィリピンのバリカサグのギンガメアジのトルネードなど忘れがたいものがある。多様な海中が多様な面白さを与えてくれる。
「せる」五十八号は三作品が掲載された。三人の作者によって、それぞれ独自の作品世界が読者の前に広がっているはずである。 (尼)
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