私は、幼いころから本が好きで、将来は何か本に関わる仕事が出来ればいいなと夢想していた。その中に編集という仕事があった。実際に将来を選ぶタイミングでは、そのような夢想など全く思い出すこともなく、ただ自立できる職業をということしか頭になかった。 数年前から同人誌活動に参加させて頂いているが、私には向学心というものが欠如しているので、小説の書き方のハウツーも分からず、文学の知識もなく、書き物と物書きの周囲を漂っているだけであったので、今回のような責任の生じそうな編集会議に加わることがやや苦痛だった。会議の中で、私が言えることは誤字脱字や論旨的な欠陥ぐらいしかない。またそれすらも不十分だ。
こうすればもっと言いたいことが伝わるし、これを削ればさらに洗練された美しい文章になる、というような的確な指摘が出来ればよいが、何か上手いことを言おうとすればするほど、私から出る言葉は支離滅裂になる。 私は、編集会議が終わってから、とりあえず編集という職業につかなくてよかったと思った。面白いものを読んでは感嘆のため息をつき、分からないなりに胸に迫るものを抱えて歩き回る、そんな読者のままでいられるのだから。 (F)