編集後記
コロナ禍で、新しいという言葉が使われて久しい。旧来のスタイルを改める、新しい日常、新しい働き方、新しい生活様式などが推奨されている。これまでの行動や価値が否定され、新しいという言葉のもとに優れたものとして提示されている。 同人誌も、新しい同人誌というスタイルが導入されつつある。対面で会うことが難しくなって、オンラインで結ばれる。オンラインの良さや有効性は大きい。同人誌を救済してくれるという功績も大きい。オンラインがなければ同人誌は休止せざるを得ないだろう。 せるも会場とオンラインの二刀流である。しかし、オンラインによる同人誌というものは、個人的にはクセ者であると思う。 オンラインは学校の授業、講演会などには適していると思う。つまり、一方向からの発信が主要な場にはむいている。同人誌がそういう場なのかと考える。同人相互の意見交換と深化、感情の交錯や息づかい、それらの坩堝だと思う。コロナ禍が終息し、旧来の同人誌にもどれる日が早く来ることを願っている。 今号の三作品のうち二作品は新加入の同人によるものである。この“新しい”は大いに歓迎したい。 (尼)